借金のこと、時効のこと

-この記事は、前のホームページの2018.9.25記事から再掲載です-


借金と時効についてのお話です。
自分が借りたお金だったり、離婚した元配偶者に名義を貸した借金だったり、借金の原因としては、人それぞれ、さまざまな理由がありますが、自分の生活環境や健康状態の変化等により、返済に困ってしまうことは、債務整理のご相談ではよくある話です。

困ってすぐに相談できればいいのですが、できない状況にある方もいらっしゃいます。

そんな中、自分の住所や名前が変わったりして、債権者とのやりとりがなくなり、そのうち今さら自分からも言い出せなくなり、いつの間にか借金のことを忘れている(?)方がいらっしゃいます。

そうして、忘れたころに届く請求の通知があります。

まず、借りてから5年~10年も経つと、お金を貸した債権者が、その時と同じ会社名で請求してくるとは限りません。
債権者の会社は、合併などで名前が変わっていることがあります。

また、例えば銀行からお金を借りた場合には、代位弁済により債権者がかわっていることがあります。
代位弁済とは、借入時に、銀行が指定する保証会社(消費者金融会社等)と「保証委託契約」を結ぶことで、借主が銀行への返済を遅延した場合などに、保証会社が、借主に代わって銀行に弁済することを言います。
これにより、銀行が有していた借主に対する一切の権利は、保証会社に移転します。

さらに、債権者は、「●●債権回収」という会社に債権を売ってしまう、つまり債権譲渡することが多くあります。
これにより、債権者が、銀行や保証会社から「●●債権回収」という会社にかわることになります。

債権者からの請求の通知を、「こんな名前の会社知らない、自分には関係ない、覚えていない」と放置していたら、そのうちに裁判を起こされることがあります。

裁判においてきちんと「時効の援用」をしていれば、返済する必要がなくなるところが、答弁書も出さず、裁判も欠席するという方がまれにいらっしゃいます。その場合は相手の言い分が認められて判決がなされてしまい、判決が確定すると、新たに10年の時効が開始することになってしまいます。

また一方では、債権者からの通知には、返済のカウンセリングといった相談窓口が記載されています。
そこに自分から連絡し、債権者と連絡をとったとします。
そこで、自分が借りていたことを認めたり、債権者から言われるがままに、返済できる額、「1000円くらいなら・・・」と、少しでも払ってしまうと「債務の承認」となり、「時効の援用」ができなくなってしまいます。

借りたお金を返せなくなった、長い間の理由は別にしても、時効になっているような債務は、かなりの延滞金や遅延損害金が付加されて、すぐに返済できるような金額ではなくなっています。

知らない会社からの請求・通知だからといって、そのまま放置したり、その場しのぎで対応したりするのは危険です。
こういう時は、まずは相談するのがおすすめです。

参考条文(一部抜粋)
*条文改正あります。R2.4.1施行前のものです。

  • 民法第145条
    時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。
  • 民法第167条
    1.債権は、10年間行使しないときは、消滅する。
  • 民法第174条の2
    確定判決によって確定した権利については、10年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、10年とする。 裁判上の和解、調停その他確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利についても、同様とする。
  • 商法第522条
    商行為によって生じた債権は、この法律に別段の定めがある場合を除き、5年間行使しないときは、時効によって消滅する。ただし、他の法令に5年間より短い時効期間の定めがあるときは、その定めるところによる。