親族について-その1

-この記事は、前のホームページの2018.10.10記事から再掲載です-

先月半ばのこと、成年後見相談会で相談員を担当しました。
その時のことも含めて、最近私自身が感じている「親族」のことについて書いてみます。

親族」というのは、民法第725条において次のように規定されています。

  1. 6親等内の血族
  2. 配偶者
  3. 3親等内の姻族

ところで、後見開始の審判は、民法第7条において、本人配偶者や、4親等内の親族が申立ができるとされています(下記条文参照)。
この後見開始の審判の条文では、判断能力が衰え、自分ではどうしようもできない場合に、その人に代わってものごとを判断し、行動できる人、すなわち後見人を選任してほしい、そのためには誰がその申立手続きができるのか、ということが定められています。

では、自分から見て、「4親等内の親族」が誰になるのか分かりますか?
それは、具体的な関係で言うと、次のようになります。

  • 1親等の親族・・・ 父母、子。
     ※両親がたとえ離婚しても、それにより名前がかわっても、影響ありません。
  • 2親等の親族・・・祖父母、孫、兄弟姉妹
  • 3親等の親族・・・曽祖父母、ひ孫(曽孫)、おじ・おば、おい・めい
  • 4親等の親族・・・   高祖父母、やしゃご(玄孫)、いとこ

さて、みなさんはこの親族の中で、どれくらいの人の住所や連絡先が分かりますか?
その親族とは定期的に交流がありますか?
その親族は、いつでも連絡が取れて、困ったことがあれば、いつでも助けてくれますか?

私は、父が7人兄弟、母が5人兄弟ということで、親戚が多いように思いますが、 両親を通してしか連絡先が分からない親族が少なからずいます。
冠婚葬祭くらいしか会わない親族も多いと思います。
叔父叔母、さらにはいとことなると、もう何十年と会っていない人、これから先も会うことはないだろう、という親族もいます。
親族として定義されている6親等の血族(はとこ)なんて、もう全然知りません。

今は、核家族化、少子化が進み、「個人」が尊重され「個人情報」が保護される時代です。
親族との関係も希薄になる中、高齢になると、配偶者や兄弟姉妹に先立たれたり、 子どもや兄弟姉妹がいる方でも、遠方や海外で長年離れて暮らす等により、普段から関わりのある親族はいない、という方が多くなってきているように思います。

もし、自分が元気なうちに、自分の親族を知りたい、どこにいるか調べたい、交流を持ちたいと思い、 戸籍や住民票から自分の親族を調査しようとしても、そういう理由では、行政は「個人情報」を開示してはくれません。
一方で、自分だけではどうしようもできないとき、 例えば生活保護とか、後見の申立の必要があるときなど、 行政の方で親族調査をして、親族の関与を求めようとしてくることがあります。

行政が手続上困った時だけ、制度の決まりや法律の定めだからという理由で、 本人の意思にかかわらず、本人の「個人情報」を利用して、 本人とは長年交流もない親族を探し出し、 経済的なこと、病気のことなど、知られたくもない状況を伝えられてしまうことになりますが、そういうの、なんだか変に思うのは私だけでしょうか?

自分が元気なうちは、ほとんどつながりがなかった親族ともなると、困った時に頼られて、こんなときだけ「親族」と言われても、いきなり頼られる方としては、「関係ありません」「知りません」「何もできません」 となってしまうことが多いのではないでしょうか。

さらに言えば、病院や施設に入院、入所する際に求められる親族の身元引受や身元保証、これについても、時代に応じた受け入れの在り方を考える時期にあるように思います。
ときどき、私も、後見業務においてご本人さんの入院や施設入所で対応に困ることがあります。後見人は、親族に代わり身元引受人や身元保証人となることはできませんので、 そういう場合はご親族にお願いすることになりますが、ご本人さんには、必ずしも関与できるご親族がいらっしゃるとは限らないのです。

家族の在り方、個人の生き方、いろいろ変わってきています。法律や行政、入院の手続きなどの時代遅れ感が、人々の老後の孤独や不安を助長している気がしてなりません。

今はもう、夫婦や子供のみならず、祖父母、兄弟姉妹やその妻、甥、姪までもが、 1つの同じ戸籍に入っていたような時代とは違います。
親戚同士が歩いてすぐに行き来できる、そんな距離に住むような時代でもありません。

参考条文

  • 民法第7条 [後見開始の審判]  
    精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、 未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人 又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。