日本人と外国人の結婚と、戸籍と氏

以前(2021.3)、日本人同士の結婚、離婚と戸籍と氏についての記事を書きましたが、では、日本人と外国人の結婚の場合、戸籍と氏はどうなるのでしょうか。

婚姻(結婚)と届出について

1.日本人と外国人が、日本で婚姻(結婚)する場合・・・

日本人と外国人が日本で婚姻しようとするときは、市区町村の戸籍届出窓口に「婚姻届」を提出し、両当事者に婚姻の要件が備わっていると認められ、届出が受理されると、有効な婚姻が成立することになります(「日本方式の婚姻」)。

この場合、外国人については、婚姻に必要な要件を証明する「婚姻要件具備証明書」(日本語訳を添付)、国によってはこれに代わる独身であることの証明書等(日本に駐在する本国領事の面前で宣誓し、領事が署名する「宣誓書」など)が必要です。

2.日本人と外国人が、外国で婚姻(結婚)した場合・・・

2-1.その国の法律上有効に婚姻が成立する場合

外国の法律上有効に婚姻が成立し、その国が発行する婚姻に関する証書の謄本が交付される場合(「外国方式の婚姻」)には、婚姻成立の日から3か月以内に、婚姻届に婚姻に関する証書の謄本(日本語訳付)を添えて、その国に駐在する日本の在外公館(大使館、領事館)に提出するか、本籍地の市区町村役場に提出、郵送する必要があります。

2-2.有効な婚姻が成立していない場合

外国方式の婚姻が有効に成立していない場合には、あらためて1.に記載の「日本方式の婚姻」の手続が必要となります。

戸籍と氏について

1.戸籍はどうなる?

例えば、日本人の女性(田中花子さん)が、アメリカ国籍の男性(John Smithさん)と婚姻(結婚)する場合、戸籍はどうなるのでしょうか。

婚姻時に田中花子さんが戸籍の筆頭者でない場合(家族の戸籍に子として入っている場合など)は、
婚姻により、婚姻前の氏「田中」をもって、「田中花子」を筆頭者とする新しい戸籍が編製されることになります。

そして、田中花子さんの戸籍の身分事項欄に、「婚姻日」、「配偶者の氏名」、「生年月日」、「国籍」、「婚姻の方式」などが記載されることになりますが、これをもってJohn Smithさんが田中花子さんの戸籍に入ったわけではありません。

なぜなら、外国人は、日本人と結婚しても、帰化により日本国籍を取得しない限りは戸籍を作ることができないのです。
そして外国人John Smithさんと婚姻した田中花子さんは、婚姻によってその氏が変わることもありません。

※ 外国人に戸籍はありませんが、日本国内で出産したり、死亡したりした場合は、戸籍法の適用を受けますので、住所地の市区町村の戸籍届出窓口に、「出生届」、「死亡届」を提出する必要があります。

2.氏をどうする?

日本人の田中花子さんと外国人John Smith さん、この二人の婚姻によって氏名はどうなるのでしょうか。夫婦同姓にしたい場合はどうすればいいのでしょうか。

2-1.日本の民法の定めは適用外、夫婦別姓

日本人同士の婚姻の場合は、氏については「夫又は妻の氏を称する。」とされていることから、夫又は妻のどちらかの氏を称することとされているのですが、この民法の定めは日本人同士の婚姻が対象とされていますので、日本人と外国人間の婚姻には適用されないものとされています。

したがって、国際結婚の場合には、夫婦別姓が原則とされています。

2-2.日本人(田中花子さん)が、外国人配偶者の氏(Smith)に変更したい場合 
  • ① 田中 花子→ スミス 花子    姓を変更(日本姓→外国姓)
  • ② 田中 花子→ スミス田中 花子  姓を変更(日本姓→外国姓+日本姓)
  • ③ 田中 花子→ スミス 田中花子  姓・名を変更(日本姓→外国姓、日本名→日本姓+日本名)

もし婚姻により日本人が外国人配偶者の氏を変えたい場合は、この3つの変更が考えられます。

①の変更の場合・・・
婚姻届出の時もしくは婚姻後6カ月以内であれば、「外国人との婚姻による氏の変更届」を市区町村役場に提出することにより手続きができます。

①の変更の場合でも婚姻後6カ月を過ぎた場合、もしくは②、③による変更の場合(②、③は婚姻6カ月以内であっても関係ないです。)・・・
家庭裁判所への「氏(名)の変更許可」申立てが必要になります。
なお、日本の戸籍には、アルファベットを載せることができません。戸籍への記載が認められている漢字もしくはカタカナ表記にする必要があります。

2-3.外国人(John Smithさん)が、日本人配偶者の氏(田中)に変更したい場合

もし、婚姻により外国人配偶者が日本人の姓に変更したい場合は、次の方法が検討できます。

  • ① 帰化手続きを行う
  • ② 本国で自らの名前の変更手続きを行う
  • ③ 通称名を登録する

①の場合・・・
住所地を管轄する法務局・地方法務局に帰化許可申請手続きを行いますが、日本への居住年数や素行、生計条件などの多くの帰化許可の要件があり、審査期間も長期にわたります。
また、外国人配偶者は原国籍を喪失することになるため、外国人配偶者が生まれ育った母国の国籍喪失については、慎重に検討する必要があります。

②の場合・・・
本国法を確認し、本国内の関係機関での必要な手続きを経る必要があります。
変更後は、在留カードやパスポートの変更手続きも必要です。

③の場合・・・
外国人配偶者は本国での氏の変更はせずに、日本人配偶者の氏を「通称名」として市区町村役場に登録することができます。
通称名は在留カードやパスポートには記載はされませんが、日本国内で必要となる住民票や印鑑証明書、個人番号カードに記載され、日本においては夫婦同姓と同様に生活することが可能です。

まとめ

国際結婚は、結婚することはもちろん、名前を変えることも、在留資格のことも、あらゆる面での検討が必要です。また結婚するお二人の関係だけでなく、お互いの家族、国籍、仕事、将来設計などについても検討する必要があります。