しばた司法書士・行政書士事務所|柴田久美子

Revocation of Status of Residence, DEPORTATION

在留資格の取消・強制退去

在留資格の取消し

入管法第22条の4において、別表第1又は別表第2(上欄)の在留資格をもって日本に在留する外国人(入管法61条の2第1項の難民の認定を受けている外国人を除く。)について、次の1号から10号に掲げるいずれかの事実が判明したときは、在留資格を取り消すことができると定められています。

1号

偽りその他不正の手段により、当該外国人が入管法第5条第1項各号に定める上陸拒否事由のいずれにも該当しないものとして、入管法の規定による上陸許可の証印又は許可を受けたこと。

*取消しの対象となる上陸許可の証印は、在留資格の決定を伴うものに限られません。
*再入国許可(みなし再入国許可を含む。)を受けて上陸する場合も含まれます。

2号 

1号に掲げるもののほか、偽りその他不正の手段により、上陸許可の証印等を受けたこと。

*取消しの対象となる上陸許可の証印等は、在留資格の決定を伴うものに限ります。
*在留資格の決定を伴わない再入国許可(みなし再入国許可を含む。)による上陸許可は、取消しの対象となりません。
*2以上ある場合には、直近の許可等のみが取消しの対象となります。

3号 

1号、2号に掲げるもののほか、不実の記載のある文書又は図画の提出又は提示により、上陸許可の証印等を受けたこと。

*取消しの対象となる上陸許可の証印等は、在留資格の決定を伴うものに限ります。
*在留資格の決定を伴わない再入国許可(みなし再入国許可を含む。)による上陸許可は、取消しの対象となりません。
*2以上ある場合には、直近の許可等のみが取消しの対象となります。
*「不実の記載」について、申請人の認識は不要とされています。

4号 

偽りその他不正の手段により、入管法に規定する在留特別許可を受けたこと(当該許可の後、これらの規定による許可又は上陸許可の証印等を受けた場合を除く)。

*取消しの対象となるのは、在留特別許可で受けた在留資格・在留期間をもって在留している場合に限定されます(その後在留資格変更・期間更新許可による在留は対象外)。

5号 

「外交」、「公用」、「教授」、「芸術」、「宗教」、「報道」、「高度専門職」、「経営・管理」、「法律・会計業務」、「医療」、「研究」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「企業内転勤」、「介護」、「興行」、「技能」、「特定技能」、「技能実習」、「文化活動」、「短期滞在」、「留学」、「研修」、「家族滞在」、「特定活動」の在留資格をもって在留する者が、当該在留資格に応じた活動を行っておらず、かつ、他の活動を行い又は行おうとして在留していること(正当な理由がある場合を除く。)。

6号 

「外交」、「公用」、「教授」、「芸術」、「宗教」、「報道」、「高度専門職」、「経営・管理」、「法律・会計業務」、「医療」、「研究」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「企業内転勤」、「介護」、「興行」、「技能」、「特定技能」、「技能実習」、「文化活動」、「短期滞在」、「留学」、「研修」、「家族滞在」、「特定活動」の在留資格をもって在留する者が、当該在留資格に応じた活動を継続して3月(高度専門職2号にあっては6月)以上行わないで在留していること(当該活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除く。)。

*本来行うべき活動(保有する在留資格に該当する活動)を行わない期間には、再入国許可による出国中の期間を含みます。

7号 

「日本人の配偶者等」の在留資格(日本人の配偶者の身分を有する者に係るものに限る。)をもって在留する者又は「永住者の配偶者等」の在留資格(永住者等の配偶者の身分を有する者に係るものに限る。)をもって在留する者が、その配偶者の身分を有する者としての活動を継続して6月以上行わないで在留していること(当該活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除く。)。

*配偶者との離婚、死別や婚姻の実態が存在しない場合などが対象となります。
*取消しの事実が判明した場合でも、他の在留資格への変更や永住許可申請の機会が与えられるよう配慮されます。

8号 

入管法の規定による上陸許可の証印若しくは許可等又は在留特別許可を受けて、新たに中長期在留者となった者が、当該上陸許可の証印又は許可を受けた日から90日以内に、出入国在留管理庁長官に、住所地の届出をしないこと(届出をしないことにつき正当な理由がある場合を除く。)。

9号 

中長期在留者が、出入国管理庁長官に届け出た居住地から退去した場合において、当該退去の日から90日以内に、出入国管理庁長官に、新住所地の届出をしないこと(届出をしないことにつき正当な理由がある場合を除く。)。

10号 

中長期在留者が、出入国管理庁長官に、虚偽の住所地を届け出たこと。

強制退去

強制退去については、入管法24条に定められています。
具体的な強制退去事由は次のとおりです。

 入管法第3条の規定に違反して入国した者(有効な旅券を所持しない者、上陸許可を受けてないで上陸する目的を有する者)

 上陸の許可を受けないで上陸した者

2の2 在留資格を取り消された者(取消事由の1号、2号に該当)

2の3 在留資格を取り消された者(取消事由の5号の出国猶予の期間の指定を受けていない者)

2の4 在留資格を取り消され、出国猶予の指定期間を経過して日本に残留する者

 他の外国人に不正に上陸、在留手続きの許可を受けさせる目的で、文書等を偽造・変造して行使、所持等をした者、またはこれらの行為を教唆、ほう助した者

3の2 公衆藤脅迫目的の犯罪行為を行うおそれがある者

3の3 国際約束により入国を防止すべきものとされている者

3の4 次のいずれかに該当する行為を行い、教唆、ほう助した者

イ 不法就労活動をさせること

ロ 不法就労活動をさせるために自己の支配下に置くこと

ハ 不法就労活動行為のあっせん業

3の5 次のいずれかに該当する行為を行い、教唆、ほう助した者

イ 行使目的での在留カード若しくは特別永住者証明書の偽造、変造、提供・収受、所持

ロ 行使目的での他人名義の在留カード若しくは特別永住者証明書の提供・収受、所持、または自己名義の在留カードの提供

ハ 偽造、変造の在留カード若しくは特別永住者証明書または他人名義の在留カードもしくは特別永住者証明書の行使

ニ 在留カード若しくは特別永住者証明書の偽造・変造の目的で器械や原料を準備すること

 次のいずれかに該当する外国人

イ 在留資格の活動に応じた活動を行っておらず、事業活動を行い、または報酬を得ていることが明らかな者

ロ 在留期間の更新、変更を受けずに在留期間を経過して日本に残留する者

ハ 人身取引等を行い、教唆、ほう助した者

ニ 旅券法規定違反の罪により刑に処せられた者

ホ 入管法の規定(集団密航、不法入国等)に違反して刑に処せられた者

ヘ 非専従の資格外の活動を行い禁固以上の刑に処せられた者

ト 少年法に規定する少年で長期3年を超える懲役又は禁錮に処せられた者

チ 麻薬取締法、大麻、覚せい剤等の違法薬物を取り締まる関連法又は刑法に違反して有罪の判決を受けた者

リ ニからチに掲げる者のほか、無期又は1年を超える懲役もしくは禁錮に処せられた者。ただし、執行猶予の言渡しを受けた者を除く。

ヌ 売春またはその周旋、勧誘等に従事する者

ル 次に掲げる行為をあおり、教唆、ほう助した者

(1)他の外国人の不法入国、不法上陸

(2)他の外国人がその他不正の手段により上陸許可等を受け、又は在留許可を受けること。

オ 暴力主義的破壊活動に該当する主張や行為又はその行為の予備・陰謀・教唆・せん動した者

ワ 次に掲げる政党その他の団体の結成、加入、密接な関係を有する者

(1)公務員であるという理由により公務員に対する暴行や殺傷を推奨する政党・団体

(2)公共の施設に対して不法に損傷、破壊を勧奨する政党・団体

(3)工場事業場における安全保持の施設の正常な維持運行を停廃し、妨げるような争議行為を推奨する政党・団体

カ オ又はカに規定する政党その他の団体の目的達成のため、印刷物や映画等を作成し、頒布し、又は展示した者

ヨ その他法務大臣が日本国の利益又は公安を害する行為を行ったと認定する者

4の2 「外交」、「公用」、「教授」、「芸術」、「宗教」、「報道」、「高度専門職」「経営・管理」、「法律・会計業務」、「医療」、「研究」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「企業内転勤」、「介護」、「興行」、「技能」、「特定技能」、「技能実習」、「文化活動」、「短期滞在」、「留学」、「研修」、「家族滞在」、「特定活動」の在留資格をもって在留する者が、刑法上の罪、盗犯等防止法上の罪、自動車運転処罰法上の罪により懲役又は禁錮に処せられた者

4の3 短期滞在の在留資格をもって滞在する者が、国際競技会等の経過若しくは結果に関連して、又はその円滑な実施を妨げる目的をもって、殺傷、暴行、脅迫、建造物その他の破壊行為を行った者

4の4 居住地(変更)届出、居住地以外の記載事項の変更届出、所属機関等に関する届出において虚偽の届出をし、または在留カードの有効期間の更新、紛失・汚損等による在留カードの再交付の手続において違反したことにより懲役に処せられた者、または出入国管理庁長官が交付し、又は市町村長の長が返還する在留カードを受領せず、又は在留カードの提示を拒んだことにより懲役に処せられた者。

 仮上陸の許可を受けた者で、条件に違反し、逃亡し、正当な理由なく呼出しに応じない者

5の2 上陸審査において退去を命じられ、遅滞なく日本から退去しない者

 寄港地上陸の許可、船舶観光上陸の許可、通過上陸の許可、乗員上陸の許可、緊急上陸の許可、遭難による上陸の許可又は一時庇護のための上陸の許可を受けた者で、旅券又は許可書に記載された期間を経過して日本に残留する者

6の2 船舶観光上陸の許可を受けた者が、当該許可に係る指定旅客船が寄港する日本の出入国港で下船後、当該指定旅客船が出港するまでの間に逃亡した者

6の3 船舶観光上陸の許可を受けた者が、上陸拒否事由に該当する者であるとして許可を取り消され、出国に必要な期間を指定されたにもかかわらず、当該期間内に出国しない者

6の4 乗員上陸の許可を受けた者が、上陸拒否事由に該当する者であるとして許可を取り消され、出国に必要な期間を指定されたにもかかわらず、当該期間内に出国しない者

 日本国籍の離脱又は出生その他の該当事由が生じた日から在留資格を取得することなく60日を経過して日本に残留する者

 出国命令による出国期限を経過して日本に残留する者

 出国命令を取り消された者

10 難民認定を取り消された者