農地転用
農地転用の許可
1.農地転用の許可申請
農地転用とは、田や畑の農地、採草放牧地を、人為的にそれ以外にすることをいいます。
たとえば、農地を宅地として土地上に建物を建てる、駐車場にする、資材置場や道路として利用する場合などの場合です。
- 農地法3条許可
農地を農地として、つまり農家から農家へ売買・賃貸(利用権設定)等をする場合 - 農地法4条許可
農地を宅地や雑種地等に転用する場合、例えば自分が所有している農地に家を建てたい、駐車場にしたい場合 - 農地法5条許可
農地を転用するために権利を設定し、または権利の移転を行う場合、例えば宅地に転用する前提で農家以外の方に売却する場合
- 農地法3条許可
これらの場合には、原則として都道府県知事又は指定市町村長の「許可」が必要となります。
農地は、農地の優良性や周辺の土地の利用状況等により5種類の区分に分けられます。
「農用地区域内農地」、「甲種農地」、「第1種農地」、「第2種農地」、「第3種農地」の5種類があり、それぞれの農地区分によって原則不許可、原則許可などの農地転用許可方針が異なります。
農地の転用「許可」申請には、毎月の締日があり、自治体によって異なります。
福岡市の農業委員会では毎月20日が締め切りとなっています。
<農地区分と許可の方針>
区分 | 許可の方針 | ||
農用地区域内農地 | 市町村が定める農業振興地域整備計画において農用地区域とされた区域内の農地 | 原則不許可
| |
甲種農地 | 市街化調整区域内の
| 原則不許可 | |
第1種農地 |
| 原則不許可 | |
第2種農地 |
| 第3種農地に立地困難な場合等に許可 | |
第3種農地 |
| 原則許可 |
農地転用の届出・現況証明など
農地転用の届出
農地が市街化区域内にある場合の農地転用については、「許可」申請ではなく農業委員会への「届出」を行います。
福岡市の農業委員会では、市街化区域内の農地の転用「届出」については随時受け付けており、翌週の木曜日に受理通知書が発行されています。
非農地証明・現況証明
農地法に定めがあるわけではありませんが、自治体によって「現況証明」や「非農地証明」という証明書が発行される場合もあります。
「現況証明」とは、すでに農地転用許可を得て転用し、現況は農地ではない土地であるにもかかわらず、土地の登記簿の地目が「田」や「畑」のままとなっている場合に、現況の証明がなされます。
「非農地証明」とは、現況が農地ではない土地について、 土地の登記簿の地目が「田」や「畑」となっているものの、 一定の条件を満たしている場合に、農業委員会の判断で、非農地の証明がなされます。
これらは、自治体によって取り扱いが異なりますので、確認が必要です。
無断転用の場合
農地を許可等を得るとなく無断で転用すると、農地法違反となります。
工事の中止や原状回復(農地の元の状態に戻す)の命令が出されることもあり、さらに3年以下の懲役や300万円以下(法人に対しては1億円以下)の罰金が科せられる場合もあります。
農地転用のと登記手続き
農地転用と登記の手続き
①農地(登記簿上の地目が「田」「畑」)の土地の所有権を移転する場合
- 登記原因「相続」による所有権移転登記・・・
農地法上の許可等は不要で、農地(「田」、「畑」)のまま登記手続きができます(後日、届出が必要です)。 - 登記原因「売買」、「贈与」、「遺贈」による所有権移転登記・・・
「田」や「畑」の地目のまま所有権移転の登記をすることはできません。- 農地転用許可の申請(または届出)をした上で、所有権移転登記の申請に許可書(または届出受理通知書)を添付する必要があります。
- 現況証明、非農地証明が取得できるケースであれば、証明書を添付して事前に土地の地目変更登記をする必要があります。
②農地転用の許可、届出が受理された場合
許可書、届出受理通知書が届き、農地を転用した場合は、土地の現況が変わることになります。
(例えば、家を建てた場合は宅地、駐車場にした場合は雑種地など。)
所有権が移転して名義が変わった場合はもちろん、引き続き自己の名義のまま土地を所有する場合においても、現況が農地ではなくなったらすみやかに地目変更の登記手続きをする必要があります。