しばた司法書士・行政書士事務所|柴田久美子

定住者の要件 -定住者告示と告示外定住-

定住者の在留資格は、法務大臣が定住者告示をもってあらかじめ定める地位に該当する場合にその入国・在留が認められる定住者告示と、個々に活動の内容を判断して、その入国・在留を認める告示外定住の2つに分けられます。

1.定住者告示

法務大臣があらかじめ定住者告示をもって定める地位・活動。


<1号、2号は、いわゆる難民の「第三国定住」についての規定です。>

1号 

タイ国内において一時的に庇護われているミャンマー難民であって、国際連合難民高等弁務官事務所が国際的な保護の必要な者と認め、我が国に対してその保護を推薦するもののうち、次のいずれかに該当するものに係るもの

 日本社会への適応能力がある者であって、生活を営むに足りる職に就くことが見込まれるもの及びその配偶者又は子

 この号(イに係るものに限る。)に掲げる地位を有する者として上陸の許可を受けて上陸しその後引き続き日本に在留する者の親族であって、親族間で相互扶助が可能であるもの

2号 

マレーシア国内において一時滞在しているミャンマー難民であって、国際連合高等弁務官事務所が国際的な保護の必要な者と認め、我が国に対してその保護を推薦するもののうち、1号イに該当するものに係るもの

<3号、4号は、いわゆる日系2世、3世についての規定です。>

3号

日本人の子として出生した者の実子(2号又は8号に該当する者を除く。)であって素行が善良であるものに係るもの

4号 

日本人の子として出生した者でかつて日本国民として日本に本籍を有したことがあるものの実子の実子(3号又は8号に該当する者を除く。)であって素行が善良であるものに係るもの

<5号は、いわゆる日系2世、3世の配偶者、1年以上の在留期間を指定されている「定住者」の配偶者についての規定です。>

5号 

次のいずれかに該当する者(1号から4号まで又は8号に該当する者を除く。)に係るもの

 日本人の配偶者等の在留資格をもって在留する者で日本人の子として出生したものの配偶者

 1年以上在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留する者(3号又は4号に掲げる地位を有する者として上陸の許可、在留資格の変更の許可又は在留資格の取得の許可を受けた者及び5号に該当する者として上陸の許可を受けた者で当該在留期間中に離婚したものを除く。)の配偶者

 3号又は4号に掲げる地位を有する者として上陸の許可、在留資格の変更の許可又は在留資格の取得の許可を受けた者で1年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留するもの(5号に該当する者として上陸の許可を受けた者で当該在留期間中に離婚したものを除く。)の配偶者であって素行が善良であるもの

<6号は、日本人、「永住者」、特別永住者、もしくは1年以上の在留期間を指定されている「定住者」またはこれらの配偶者で「日本人の配偶者等」又は「永住者の配偶者等」の在留資格をもって在留するものの未成年で未婚の実子についての規定です。>

6号 

次のいずれかに該当する者(1号から4号まで又は8号に該当する者を除く。)に係るもの

 日本人、永住者の在留資格をもって在留する者又は日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(平成3年法律第71号)に定める特別永住者(以下「特別永住者」という。)の扶養を受けて生活するこれらの者の未成年で未婚の実子

ロ 1年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留する者(3号、4号又は5号に掲げる地位を有する者として上陸の許可、在留資格の変更の許可又は在留資格の取得の許可を受けた者を除く。)の扶養を受けて生活する当該者の未成年で未婚の実子

 3号、4号又は5号ハに掲げる地位を有する者として上陸の許可、在留資格の変更の許可又は在留資格の取得の許可を受けた者で1年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留するものの扶養を受けて生活するこれらの者の未成年で未婚の実子であって素行が善良であるもの

 日本人、永住者の在留資格をもって在留する者、特別永住者又は1年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留する者の配偶者で日本人の配偶者等又は永住者の配偶者等の在留資格をもって在留するものの扶養を受けて生活するこれらの者の未成年で未婚の実子

<7号は、日本人、「永住者」、特別永住者又は1年以上の在留期間を指定されている「定住者」の6歳未満の養子についての規定です。>

7号 

次のいずれかに該当する者の扶養を受けて生活するこれらの者の6歳未満の養子(1号から4号まで、6号又は8号に該当する者を除く。)に係るもの

 日本人

 永住者の在留資格をもって在留する者

 1年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留する者

 特別永住者

<8号は、いわゆる中国残留邦人等及びその配偶者、一定の親族についての規定です。>

8号 

次のいずれかに該当する者に係るもの

 中国の地域における昭和20年8月9日以後の混乱等の状況の下で日本に引揚げることなく同年9月2日以前から引き続き中国の地域に居住している者であって同日において日本国民として日本に本籍を有していたもの

 前記イを両親として昭和20年9月3日以後中国の地域で出生し、引き続き中国の地域に居住している者

 中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律施行規則(平成6年厚生省令第63号)第1条第1号若しくは第2号又は第2条第1号もしくは第2号に該当する者

 中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律(平成6年法律第30号)第2条第1項に規定する中国残留邦人等であって同条第4項に規定する永住帰国により日本に在留する者(以下「永住帰国中国残留邦人等」という。)と日本で生活を共にするために日本に入国する当該永住帰国中国残留邦人等の親族であって次のいずれかに該当するもの

(ⅰ)配偶者

(ⅱ)20歳未満の実子(配偶者のないものに限る。)

(ⅲ)日常生活又は社会生活に相当程度の障害がある実子(配偶者のないものに限る。)であって当該永住帰国中国残留邦人等又はその配偶者の扶養を受けているもの

(ⅳ)実子であって当該永住帰国中国残留邦人等(55歳以上であるもの又は日常生活若しくは社会生活に相当程度の障害があるものに限る。)の永住帰国後の早期の自立の促進及び生活の安定のために必要な扶養を行うため日本で生活を共にすることが最も適当である者として当該永住帰国中国残留邦人等から申出のあったもの

(ⅴ)前記(ⅳ)に規定する者の配偶者

ホ 6歳に達する前から引き続き前記イからハまでのいずれかに該当する者と同居し(通学その他の理由により一時的にこれらの者と別居する場合を含む。以下同じ。)、かつ、これらの者の扶養を受けている、又は6歳に達する前から婚姻若しくは就職するまでの間引き続きこれらの者と同居し、かつ、これらの者の扶養を受けていたこれらの者の養子又は配偶者の婚姻前の子

 

2.告示外定住

① 認定難民・・・法務大臣により難民として認定されたもの

② 特別な事情を考慮して入国・在留を認めることが適当であるもの

ア 日本人、永住者又は特別永住者である配偶者と離婚後引き続き日本に在留を希望する者(ウに該当する者を除く。)

◆主な許可要件

          1.  一定期間正常な婚姻関係・家庭生活の実体を有していたこと 
          2.  生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
          3.  日常生活に不自由しない程度の日本語の能力を有しており、通常の生活を営むことが困難となるものではないこと(日本語の試験に合格していることまでは問われません。)
          4.  公的義務を履行していること又は履行が見込まれること 

イ 日本人、永住者又は特別永住者である配偶者が死亡した後引き続き日本に在留を希望する者(ウに該当する者を除く。)

◆主な許可要件

          1.  一定期間正常な婚姻関係・家庭生活の実体を有していたこと 
          2.  生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
          3.  日常生活に不自由しない程度の日本語の能力を有しており、通常の生活を営むことが困難となるものではないこと(日本語の試験に合格していることまでは問われません。)
          4.  公的義務を履行していること又は履行が見込まれること 

ウ 日本人の実子を監護・養育する者

◆主な許可要件

          1.  生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
          2.  日本人との間に出生した子を養育・監護している者であって、次のいずれにも該当すること。
            1.  日本人の実子の親権者であること。
            2.  現に相当期間当該実施を監護・養育していることが認められること。

エ 日本人、永住者又は特別永住者との婚姻が事実上破綻し、引き続き在留を希望する者

◆主な許可要件

          1.  生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
          2.  公的義務を履行していること又は履行が見込まれること 

※ 「婚姻関係が事実上破綻し」とは、婚姻は継続中であるものの、夫婦双方に婚姻継続の意思がなくなったもの、同居・相互の協力扶助の活動が事実上行われなくなり、その状態が固定化していると認められ、婚姻関係を修復・維持し得る可能性がなくなった場合などをいいます。婚姻が未だ破綻しているとまでは認められない場合は、現に有する「日本人の配偶者等」又は「永住者の配偶者等」の在留資格での期間更新の可否を検討することになります。

オ 難民の認定をしない処分(以下「難民不認定処分」という。)後、特別な事情を考慮して在留資格「特定活動」により、1年の在留期間の決定を受けた者で、在留資格「定住者」への在留資格変更許可申請を行ったもの

カ 「家族滞在」をもって在留する者で、日本で小中高を卒業後に就職する者

キ 「特定活動」(告示外/日本で中高を卒業後に就職)から在留資格変更許可申請を行ったもの